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卓球における回転軸と、回転軸を外す意義

以前の記事で、ボール表面のある1点に対し、その接線方向に力を加えることでボールが回転することについて書きました。

参考記事:モーメントと球の回転

ここでは、

  • 回転軸についてのおさらい
  • 回転軸を外すとはどういうことか
  • 回転軸を外すことの意義
  • 回転の影響を受けにくくなる原理

について、順次解説していきたいと思います。

回転軸とは

ある物体が、ある直線を軸として回転している場合、この軸を回転軸といいます。

以下のような地球儀の場合、赤で示した直線が回転軸になります。
地球儀の回転軸

卓球はボールの回転量が大きなウェイトを占める競技ですので、当然、この回転軸についても他の競技と比較してよく理解しておく必要があると思います。

例として、相手がドライブ回転の打球を打ってきたときのボールの回転軸を図示しました。
ドライブ回転の回転軸

ボールには前進回転が加えられ、回転軸は地面に対して水平方向を向いていることが分かります。

回転軸を外すとは

「回転軸を外す」というのは、多くの人が

  • 相手の回転の影響を受けにくくする
  • 相手の打球の回転軸とは異なる回転軸の球を打ち出す

というような目的・意味合いで使っていると思われます。もちろん、それで正解です。

ただ、表現に少しあいまいな部分があるので、当サイトでは以下のように考えたいと思います。先ほどのドライブ回転の打球を例にとります。
回転軸を外すの定義

上図の緑色の帯の部分以外のどこかの点でインパクトすれば、「回転軸を外す」ことができる

言ってることは同じじゃないの?と思うかもしれませんが、以下のような場合があります。
回転軸が変わる打球方向ではあるが…

上図のように、緑色の帯上の点を黄色矢印の向きに打球する場合、「相手の打球の回転軸とは異なる回転軸」にはなっても、「相手の回転の影響を受けにくい」ことにはならないことに注意してください。

現実にはこのような「相手のドライブに対し、球の真後ろを真横に擦る」シチュエーションはほとんどないので、考えなくてもいいことかもしれませんが、念のためここで言及しておきます。

回転軸を外す意義

回転軸を外す意義については、前の見出しで既に出てきた通りです。すなわち、「相手の打球の回転の影響を受けにくくすることができる」のがいちばんのポイントです。

  • 相手の下回転サービスに対して、チキータで横上方向に擦り上げる
  • カウンターを仕掛けるときに、カーブドライブ気味に側面を捉える
  • その他、各種サービスに対する台上技術など

このような技術の多くが、相手の打球の回転軸を外すことによって自分の打球を安定化させているといえます。

回転の影響を受けにくくなる原理

下図で、赤線上の点P1、緑線上の点P2について考えてみます。点線が回転軸です。
回転軸を外す・原理
ここで、2つの点は同じ球上にあることから、それぞれの点が1回転して同じ場所に戻ってくるのにかかる時間は同じです。

しかしその間、赤線上の点P1の方が緑線上の点P2より長い距離を移動することが分かります。

つまり、点P1と点P2では点P1の方が移動速度が速いです。この場合、移動速度が速いということは回転速度が速いということです。

必然的に、より回転速度の遅い点P2の方が、インパクトの際に受ける回転の影響が少ないということになります。

回転軸と球の交点(図の点Xや点Y)に近づくほど影響が少なくなり、点Xや点Yでは回転の影響がなくなります。といっても、点Xや点Yでインパクトできる機会なんて、なかなかないですが。

おまけ:ロケットの打ち上げの話

卓球とは関係のない話ですが、ロケットを種子島から打ち上げる理由は、今回の回転軸の話と少し関係があります。

ざっくり言ってしまうと、ロケットを打ち上げる際に地球の自転エネルギーを最大限に使えるのが赤道付近です。

これは地球が北極と南極を通る回転軸で回転しており、赤道付近の回転速度がいちばん速いからですね。

日本の場合は、この地理的な条件と他のいろいろな条件を考えた結果、種子島がいいだろうということになったわけです。

今回の「回転軸を外す」話は、エネルギーの少ないところを打点に選ぶということで、狙いとしては真逆になりますが、話の本質は同じです。

興味のある方はJAXAのホームページなどを眺めてみるのが良いかと思います。