最近、アダムさんが解説する試合にハマっております。やっぱり解説の質がいいです。
さて、動画を見続けていると、その選手の名前とは別の呼び方で呼ばれることが多い選手が一定数いることに気づきます。
ということで、ここでは
みんな大好き、私も大好き、卓球選手たちの異名
のうち、卓球解説者のアダム・ボブロウさんが使っているものをまとめました。
2020年12月追記
YouTube版を作成しました。
卓球選手・異名一覧(以下、選手の敬称略)
よく使われる異名
選手名 | 異名(外国語) | 異名(日本語訳) |
馬 龍 | Dictator | 独裁者 |
許 昕 | Cloudwalker | 雲上人 |
樊 振東 | 小胖(Xiao Pang) | おデブちゃん |
林 高遠 | Dark Knight | 闇の騎士 |
林 昀儒 | Silent Assassin | 沈黙の暗殺者 |
丹羽 孝希 | Man of Mystery | 神秘の男 |
平野 美宇 | Hurricane | ハリケーン(台風) |
丁 寧 | Queen of Hearts | ハートのクイーン |
※訂正:丁寧は”Queen of Arts”ではなく”Queen of Hearts”でした。
あまり使われない・定着していない異名
選手名 | 異名(外国語) | 異名(日本語訳) |
ティモ・ボル | Magic Man | 魔術師 |
水谷 隼 | Doctor | 博士 |
張本 智和 | Japanese Sensation | 日本のセンセーション |
ウーゴ・カルデラノ | Thrill from Brazil | ブラジルのスリル |
シモン・ゴジ | French Showman | フランスのショーマン |
アダムさんは、意外と伊藤美誠は異名で呼ばないんですね。基本的には「イトー」「ミマ・イトー」「ミマチャーン」のどれかです。
「大魔王」はイメージ悪いんでしょうか。確かに「デビル」とか「ルシファー」とかだと、ガチの悪者って感じがします。
命名の由来
以下、それぞれについてちょっと詳しく解説しています。
馬 龍 ~Dictator~
特別トリッキーなプレイをするわけではないが、基本を限界まで(限界以上に)極めたようなプレイスタイルでゲームを支配する。関係者によると、馬龍は7ゲームマッチでゲームカウント3-0とリードした試合では負けたことがないらしく、まさに独裁者の名にふさわしい。
馬龍の場合、Dictator以外にも数多くの異名を持つ。
英語名 | 日本語訳 |
The Machine | 機械 |
The Legend | 伝説 |
Dragon | ドラゴン |
Captain | キャプテン |
この人が卓球界で築き上げた数々の功績を考えると、何か特別なエピソードがあって命名されているわけではないと思う。偉大な人に対して多くの人たちがそれぞれの呼び方で崇拝している。その現れではないだろうか。
許 昕 ~Cloudwalker~
Cloudwalkerは直訳で「雲(の上)を歩く人」。台から離れたときに見せる驚異のフットワークが、まるで雲の上をスイスイ移動しているように見えることから名付けられている。アダムさんの印象によると、「どこにでも現れる」。雲間のいたるところから顔を出すイメージでしょうか。
なので、「雲上人」というのははっきり言って誤訳なのですが、許昕に関しては雲の上の存在というイメージを持つ人が多い(と思う)のと、的を射たカッコイイ日本語が思い浮かばなかったのとで、このように訳しています。
ただ、当初はクラウドウォーカーという異名は好意的なイメージで使われていたわけではなく、(雲の上で足をとられているかのように)フットワークが悪いことを揶揄されてのことだそうです。今では真逆のイメージですが。後述する樊振東の「シャオパン」もそうですが、中国の方はやや手厳しいと感じさせる異名をつけますね。
その他の異名として、Show man(ショーマン)やXUperman(シューパーマン、『許昕=シュシン=XU Xin』と『Superman』を掛け合わせた造語)がある。
樊 振東 ~Xiao Pang~
シャオパン。おデブちゃん。英語では”Little Fatty”, “Little Chubby”と訳されたりする。私は聞いた瞬間、「ただの悪口では?」と思ったのだが、どうやら中国語ではいわゆる「ぽっちゃり」のようなソフトな言い回しで、disっているわけではないらしい。
2019年のITTFスターアワード(卓球の年間表彰式みたいなやつ)でアダムさんがこのニックネームについてどう思うかインタビューしたところ、「もうそんなに太っていないと思うけどね」と答えていたとのこと。2019年は4大会連続優勝で締めくくった彼にも、そろそろ別の異名を付けてあげてはどうだろうか。
林 高遠 ~Dark Knight~
ダークナイト(闇の騎士)。おそらくアダムさんが名付け親。
2017年3月に開催された、世界卓球選手権への出場権をかけた中国国内大会「地表最强12人」(英名:Marvellous 12)。この大会でダークホースとされていた林高遠だったが、許昕や樊振東らに土をつけるなど躍進。世界卓球への出場権を獲得した。
そのときにダークホースと評されていたことと、チェスの盤上でナイトが馬(ホース)の姿をしていることから、これらを組み合わせてダークナイトという異名が誕生した。
林 昀儒 ~Silent Assassin~
誰よりもスムーズに、誰よりも静かに──。
流れるような身のこなしで並みいる強豪を相手に坦々と勝利を重ねていく林昀儒は、ほどなくしてサイレント・アサッシン(静かなる暗殺者)と呼ばれるようになった。
得点を決めても感情をあらわにすることがなく、常にクール。張本智和とは2歳差の同世代であり、日本では彼との比較で「サイレント張本」と呼ばれることも。
丹羽 孝希 ~Man of Mystery~
神秘の男。これも多分、アダムさんの命名。
型にはまらない、思いもよらないプレー、リスクを恐れないプレー。というよりも、はたから見るとリスキーで困難に見えるプレーでも、あたかも日常のルーティンのようにこなしてしまう。ポーカーフェイスも相まって、何をしてくるか分からない謎の男と評されている。
アダムさんはお気に入りのクリエイティブ・プレイヤーとしてワルドナー、許昕とともに丹羽孝希の名を挙げており、彼を実に多くの形容詞で表現している。
- 無頓着な(casual)
- 独創的な(creative)
- 魅惑的な(fascinating)
- 多芸な(versatile)
- 予測不能な(unpredictable)
- 卑劣な(sneaky)
- 人の目を欺く(deceptive)
- などなど
平野 美宇 ~Hurricane~
2017年のアジアカップ、準々決勝から丁寧、朱雨玲、陳夢と3連続で中国選手を撃破し、中国卓球界に激震が走った。
この時の旋風を巻き起こすような活躍と、台に近い位置で腰をひねりつつ旋回させ、猛烈な打球を連発するプレイスタイルから、ハリケーン・ヒラノと呼ばれるようになった。
ティモ・ボル ~Magic Man~
解説の中では、”Timo Magic Boll”とミドルネームのような形で添えられることがあり、魔球(Magic Ball)の打ち手であることを連想させる。その異名のとおり、球の回転を自在に操り、特にループドライブには激烈なスピンがかかっている。
また、非常に長きに渡ってドイツ卓球界を牽引しており、”Legend of Sports”(スポーツ界の伝説)と呼ばれるなど、世界中のプレイヤーやファンから尊敬されている。
※随時更新予定