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「あいつは卓球がうまいけど勝てない」と言われる人への解決策

あなたは周りから卓球がうまいと言われながらも、試合になるとなかなか勝てないと悩んだことはありませんか?

ここではそんな人が試合に勝てるようになるための具体的な方法を解説していきたいと思います。この記事を読めば以下のことが分かるので、興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。

  1. うまいけど勝てない理由はメンタルよりも戦術。その理由
  2. 巷(ちまた)の戦術理解へのアプローチの限界とセンスの正体
  3. 当サイトの戦術理解へのアプローチ方法とその効果

1. うまいけど勝てない理由は戦術

試合で勝てるか勝てないか。それは大抵の場合、日頃から戦術をしっかり考えられているかどうかが影響しています。いや、自分はメンタルが弱くて負ける、という人もいるかもしれません。ただ、メンタルの弱さというのは自分の卓球に自信がなくなってしまった結果として弱くなるのだと思います。じゃあその自信がなくなってしまうのはなぜかと考えてみると、勝つために自分が何をすべきか分からなくなってしまっているからではないでしょうか。

迷える子羊

「勝つために何をすべきか」を理解しておくために必要なのが戦術への理解で、これがしっかりしていれば自分のやるべきことにフォーカスできるので迷いもなくなるし、それで負けたとしても「やるべきことはやった」と前向きでいられます。

トップ選手であれば、これとは別の原因で「メンタルが弱い」と言われるのかもしれませんが、少なくとも一般競技レベルであればメンタルの弱さというのは戦術理解で克服できるものと私は考えています。「何をすべきか分からない状態」よりも「やるべきことが分かっている状態」の方が自信を保ちやすいからです。

2. 巷の解決策=卓球ノートをつける

その前にすべきこと…戦術理解には3ステップある

自分なりの戦術を確立するために、卓球ノートをつけるのが良いと言われています。私もこれは必要なことだと思っています。

しかし、その前にやっておくべきことがあるとも思います。それは大きく分けて以下の2つ。

  1. 一般的な戦術パターンをインプットする
  2. なぜそのパターンが効果的なのかを考える

そしてこれらをやった上で、自身のプレイを通して卓球ノートをつけていくのが最も効果的だと思います。これを加えると以下のような順序になります。

  1. 一般的な戦術パターンをインプットする
  2. なぜそのパターンが効果的なのかを考える
  3. 卓球ノートを通して、自身のプレイスタイルで実現可能な戦術を考える

このうち、1.の「一般的な戦術」についてはそこそこ情報が増えてきています。今の時代、インプットの手段は少なくないと言えるでしょう。

抽象化の重要性

問題なのは2.で、その戦術パターンが「なぜ効果的か」を解説している情報源が少ないと感じます。ここの部分は難しい言葉で言うと「抽象化」の作業で、ビジネスコンサルティングなどでも重要な工程です。一般的な理論に落とし込むことによって、それを踏まえて初めて「手持ちの武器で何ができるのか」を考えることができるようになります。

具体-抽象-具体

例えば、ドライブが得意な人なら、深いツッツキからこのように考えを展開できます。

この2.を経由せずに卓球ノートをつけていても、手持ちの武器で編み出した戦術が本当に効果的なのかよく分からないまま試行錯誤を繰り返すことになります。おそらく、同じように卓球ノートをつけていてもすぐに伸びる人となかなか伸びない人に分かれるのではないでしょうか。

センスとは何か?

すぐに伸びる人というのは、この2.の部分を無意識に理解した上で3.を実践できているのだと思います。結果として、同じことをしていても差が出てくる。そしてこの「一般論に落とし込んでから自分の戦術として昇華させる」ことができる人を「センスのある人」と呼んだりします。

ただ、その「センスのある人」でも、大半は以上のようなことをいちいち言語化しているわけではないため、「センスのない人」の気持ちは分かりません。そしていざ指導する側に回った時に、「なんでできないのか分からない」のような心無い言葉を言ってしまったりします。

当サイトのアプローチ方法

まずは一般法則を理解しよう

ここまででなんとなく分かってきた方もおられるかと思いますが、「卓球がうまいけど勝てない状態」というのは、技術のセンスはあるけど戦術のセンスがいまいち、という状態を指しているのではないでしょうか。

私が思うに、技術のセンスというのは自分の身体をイメージ通りに動かすことができるか、というような身体運動的な要素を問われるので、人によっては身に付けるのが難しいのですが、戦術のセンスというのは上記の3ステップで養われ、そのうち特に2ステップ目を意識することで身に付けることができると思っています。そしてその2ステップ目というのは知識的な話であるため、技術のセンスに比べて習得が容易であると考えています。

技術のセンスと戦術のセンス

つまり「卓球がうまいけど勝てない人」が、その状態を脱出するのはそんなに難しい話ではないということです。卓球がうまいと言われる人は、少なくとも技術のセンスはすでにあるはずですので。

当サイトで提供している、戦術理解のための材料

戦術を確立するための3ステップのうち、最初の2つは当サイトで提供しています。

  1. 一般的な戦術パターンのインプット→戦術解説書
  2. なぜそのパターンが効果的なのかを考える→卓球の物理学サイトで

戦術解説書というのは、私が主に卓球の国際試合を題材としてその内容を独自にまとめたものです。戦術解説のほか、解説の和訳を通して選手の人物像などにもフォーカスしています。無料で公開しているものもありますので、ぜひ動画を見ながら参考にしていただけたらと思います。

また、有料のものについては、特定の戦術がなぜ有効かを解説した当サイトのページへのリンクや、両選手のサーブからの得点率やラリー数分布などをまとめた数値データも公開しています。より深い分析にお役立てください。

戦術解説書…戦術の具体例を学ぶ

卓球の物理学…戦術の具体例を一般理論に落とし込む

学習による効果

戦術解説書を片手に試合の動画をいくつか眺めつつ勉強していると、以下のような効果が現れてきます。

  • ある選手が優勢に(もしくは劣勢に)なるパターンが見えてくる
  • そのパターンの根本にどのような理屈・法則があるのかが見えてくる
  • 解説なしでも、得点・失点の原因が瞬間的に分かるようになってくる

もちろん、何かが見えてくるまでには数をこなす必要があります。ただ、これは特別難しいことではなく、算数の計算ドリルのように反復学習で身につけていくことができるものです。当サイトの戦術解説書には、試合を分析的に見るためのヒントが散りばめられています。

満を持して練習に向かおう!

ここまできたら、あとは自分の戦術を考えるだけです。この段階では練習を通しての試行錯誤が必要で、ここで活躍するのが、いわゆる卓球ノートです。実際の練習を通して、気づいたことを記録していきます。1.と2.を通して、あなたの卓球脳はだいぶ出来上がってきているはずですので、練習の中で今までスルーしていたミスの原因にも気づけるようになります。

これは戦術構築に役立つだけではなく、メンタルの安定にも役立ちます。それまでは「なんで入んねえんだよ!」とイライラしていたのが、「今のミスは相手のツッツキが深かったからだ」などと思考するようになります。原因が分かるか分からないかで、メンタルに与える影響がだいぶ変わります。

せんじゅつしょをそうびする

原因が分かれば、次はその対処法に頭を使うことになります。「あの深いツッツキにどう対処するか」「そもそもあれを打たせないように何をすべきか」という感じです。思考に脳のリソースを使うため、ミスにイライラしている余裕がなくなり、イライラしなくなります。

最初のうちは、その試合中に答えが見つからないことがほとんどでしょう。しかしこれも反復と蓄積です。繰り返しの中で「自分の武器はこの場面で意外と生きる」というような発見があります。しかもそれは1.や2.で培った知識や理論と矛盾がないか判断することもできるので、自分の戦術が間違っているかもしれないと自信を失うことも少なくなります

手持ちの武器によっては、まだ誰もやっていないようなオリジナリティのある戦術を思いつくかもしれません。そうなれば多くの人にとって「やりにくい相手」と言われるようになるでしょう。理論上、確率の高いことをしつつも、常識にはとらわれない。個人的には、伊藤美誠選手がこの領域に到達している気がします。

まとめ

いかがでしょう。こう考えると、「うまいけど勝てない」と言われる人が勝率を上げるためには卓球場以外での取り組みが重要で、それをきっかけに劇的に勝率を上げることも可能であることが分かると思います。

何しろ、「うまい」と言われるということは技術的にはすでに一定の水準に到達しているわけですから、あとはそれをどう使うか、の問題です。そして、その「どう使うか」はほとんどの人が教えてくれません。

当サイトの戦術解説書と卓球の物理学がそのお役に立てればと思っています。ぜひ一度、目を通してみてください。※ライバルには内緒で(笑)

戦術解説書…戦術の具体例を学ぶ

卓球の物理学…戦術の具体例を一般理論に落とし込む

補足:私の経験談

この戦術理解へのアプローチというのは、実際の私の経験に基づいている部分もあります。その経験とは、

新型コロナウイルスによる自粛期間中に1.と2.のインプットを実施し、コロナ明けに3.を実践したら効果があった

というものです。

いや、正直言ってしまうと、ノートはつけていません自粛中のインプットだけで試合中の頭の中がだいぶ変わったということです。

自分が(相手が)何でミスをしたのかが分析できるようになり、それまで五分五分だった相手に負けない自信がつきました。なるほど、これをやっとけば勝てるのか、みたいな。

理論的な部分まで落とし込むことで、相手のラッキーパンチで動揺することも少なくなります。「こんなすごい球を返してくるのか」と思ってそのパターンを封印するのではなく、「理論上は難しい球のはずだから、もう2,3回、試してみてから判断するか」と冷静に対応できるようになります。

この話は、ちょっと前まで試合中に何を考えればいいのか分からなかった私が、そのちょっと前の自分を想定して書きました。同じような境遇の方の助けになれば幸いです。