いよいよ卓球でいちばん重要と言っても過言ではない力、「回転」の力について考えていきたいと思います。
まず、回転の力を考える上で重要な「力のモーメント」に関する解説をした後、それを卓球の球へ適用していきます。
力のモーメント
以下のような、点Pで留められたプラプラ動く棒があるとしましょう。
これをデコピンで動かすとしたら、どこにどのような力を加えますか?
【B】下から上方向へデコピン
あえて聞くほどでもないですかね。皆さん、横方向にデコピンすると思います。
(ちゃんと言うなら「棒の先端に対して、棒に直角な方向の力を加える」)
下から上にデコピンしても棒は動かず、爪が痛いだけです。
これが「点Pを回転軸として半径rの棒を回転させるために必要な力」になります。
ボールの回転と回転軸
これを卓球の球に当てはめてみましょう。
ボール表面のある1点に対して、その点の接線方向に力を加えると、球が回転します。
参考記事:ベクトルと接線
このとき、点Pを通る回転軸ができます。回転軸を通る点は球体がいくら回転しても位置が変わりません。地球で言うと、北極と南極です。
理想的な条件下であればすべての力が回転に変換されるはずですが、実際にはボールとラケットの接触時間などの影響によりボールの推進力などにも変換されるため、ボールをその場で回転させるというのは不可能です。
逆に、「下から上方向へデコピン」のパターンでは、理想的にはデコピンした方向に球が無回転で飛んでいきます。
卓球技術との関連
経験者であればもうお分かりかと思いますが、ドライブとスマッシュの違いは、まさにこの「デコピンの方向」の違いです。
ドライブ系 | スマッシュ系 |
回転重視 | スピード重視 |
点Pの接線方向に力を加える | 点Pの接線に垂直な方向に力を加える |
上記の2つを両極端として、卓球のすべての技術はこの「ドライブ系」と「スマッシュ系」の比率を調節しながら繰り出されます。
この回転の力をベクトルの話と組み合わせて、別記事にてさらに深堀りしていきます。