卓球を趣味かそれ以上のレベルでやっている人なら、誰しも打球方向としてストレートを狙うかクロスを狙うか(もしくは狙われるか)ということについて考えていると思います。
そしてそれぞれのコースについて
- 狙いやすい、狙いにくい
- 入りやすい、入りにくい
というような感覚をなんとなく持っていると思います。
そして既に多くの方がご承知のことと思いますが、物理的にはクロスの方が入りやすいです。
改めて説明するまでもないことかもしれませんが、ここではクロスの方が入りやすい理由を理屈っぽく書いてみます。なお、ここではドライブ系のラリーを想定して書いていきます。
ストレートとクロスの物理的比較
この問題を考える上で、下図のように台の角の位置からストレート、もしくはクロスに打つ場合を考えます。
ストレートに打つ場合はAB上を、クロスに打つ場合はAC上を通過すると仮定します。これらの直線距離を並べて見てみると、以下の図のようになります。
図にしてみるとわずかな差にも見えますが、当然、距離が長い方がコートに収まりやすく(角度許容範囲が広く)、この差が見た目以上に影響してきます。
※角度許容範囲については↓こちら
ストレートとクロスの実際的比較
さて、ここまでで理論上は距離の差でクロスに軍配が上がることを見てきました。それでは実際の戦術を考慮に入れた場合はどうなるでしょうか。
結論から言ってしまうと、実用上の観点から考えてもますますクロスの方が有利であるといえます。
以下の図を見てみましょう。
A:クロスに深い球 | B:ストレートに深い球 |
C:クロスに浅い球 | D:ストレートに浅い球 |
卓球では基本的に球を深く返すのがセオリーです(理由はここでは割愛します)。このことから、上記4つの狙い目のうち、AとBは実戦でよく使う部分といえます。
残りのCとDについてですが、Cの「クロスに浅い球」は身につけておきたい感覚です。少しカーブをかけたり、より台のサイドを狙ったりすることで、相手をコート正面から追い出すようなショットを打つことができます。
それに対して、Dの「ストレートに浅い球」は、そんなに実用的ではなく、あえて狙う意味がありません(台上プレーでは狙いますが)。打球スピードを落とさないと物理的に狙えない場所でもあり、相手にとって打ちごろの球になる可能性が高いです。
そのため、上図の位置から狙いたいコースとしてはA, B, Cに加え、AB間(ミドル狙い)やAC間といったコースになります。
実用的には、クロスに打つならAC間を狙えば、ある程度の前後左右のブレは許容範囲です。しかしストレートに打つならB近辺を狙うしかなく、球の発射角度としては大幅に限定される(球速一定の場合)ため、余計に入りにくいと感じる、ということになります。
まとめ
コースは練習の段階ではピンポイントで狙えるようになっておきたいところですが、試合になるとそういうわけにもいかず、コースによるショットの精度とリスクの大小を考えていく必要があります。
今回の話が、そんなリスクの大小を判断する上での、ひとつの参考になればと思います。